RZ-1 Aウイング・インターセプター(RZ-1 A-wing interceptor)はクワット・システムズ・エンジニアリング社が製造したR-22スピアヘッドをもとに、初期反乱軍および反乱同盟の技術者が開発した快速のスターファイターである。R-22はジェダイ専用に設計された高性能機デルタ7イーサスプライト級軽インターセプターの流れを汲む機体であり、もともとは銀河帝国の宇宙艦隊に採用してもらうため開発された。しかし帝国がサイナー・フリート・システムズ社とTIEファイター製造の契約を結んでいたため、不採用に終わったR-22のプロトタイプは惑星タムズ=アンの王国に売却されることとなった。当時から“Aウイング”というあだ名で呼ばれていたR-22は、速度や操作性を好むパイロットたちに評価され、やがて一部が反乱分子の手に渡った。彼らはR-22に手を加え、更なるスピードを実現した新型機として作り上げ、RZ-1 Aウイングという新しい名前を与えた。
巨大なJ-77“イベント・ホライズン”亜光速エンジンを搭載したRZ-1 Aウイングは、帝国最速の量産機であるTIE/inインターセプターをも凌駕する、銀河系最速の戦闘機のひとつとして知られた。スピードを重視していたため武装は少なく軽装甲であり、アストロメク・ドロイドも非搭載となっていた。Aウイングは主に素早い機体をレーザー砲で仕留め、小型の主力艦には震盪ミサイルを撃ち込み、より大型の帝国船の対処はXウイングやBウイングといった重装備の友軍機に任せることが多かった。またAウイングは一撃離脱戦法の任務や、精密攻撃、長距離パトロール、偵察及び情報収集任務においてもその有用性を発揮した。しかしAウイングは速いぶん扱いにくく、制御システムが極めて繊細であることから、同盟宇宙軍の中で最も操縦しづらい機体とされていた。そのため反乱軍の司令官たちは優秀で経験豊富な反乱軍パイロットにだけAウイングの操縦を許可していた。
RZ-1 Aウイングは反乱同盟が正式に設立される以前から初期反乱運動で活躍し、特にフェニックス反乱分子のフェニックス中隊はAウイングで構成されていた。彼らはアイバー封鎖戦やガレルの戦い、マイカポ上空の戦闘といった数々の戦闘に参加し、やがて反乱同盟と合流した。銀河内戦では、Aウイングによって構成されるグリーン中隊がエンドアの戦いで活躍した。グリーン・リーダー・アーヴェル・クライニッドの操縦するAウイングは、この戦いで帝国のエグゼクター級スター・ドレッドノート<エグゼクター>のブリッジに特攻を仕掛け、この巨大軍艦を葬った。エンドア以降も、Aウイングはカワ・シティの戦いやフォンドア攻撃、ジャクーの戦いなど、終戦間近の数々の戦闘で反乱軍および新共和国の戦力として活躍した。のちに新共和国はベテランのパイロットや整備士たちに後押しされ、RZ-1の問題点を改良した後継機RZ-2 Aウイングをクワット・システムズ・エンジニアリング社に発注した。
特徴[]
船体[]
RZ-1 Aウイング・インターセプターはクワット・システムズ・エンジニアリング社(KSE)が製造したR-22スピアヘッドをもとに、初期反乱分子や反乱同盟の技術者が開発した戦闘機である。[2] 矢じり型の船体に滑らかなコックピット、巨大な二連エンジンを備え、両翼の端に回転式のレーザー砲を搭載していた。[8] 全長6.9メートル(22フィート8インチ)、横幅4.47メートル(14フィート8インチ)、全高2.47メートル(8フィート1インチ)。1人乗りで、ジャンプ計算にアストロメク・ドロイドを必要とせず、アストロメクを搭載するソケット自体が非搭載だった。[2] クローン戦争で活躍した銀河共和国のスターファイターからインスピレーションを得た設計となっており[8]、原型となったR-22には、KSE社の製品であるデルタ7イーサスプライト級軽インターセプターの要素が取り入れられており[2]、Aウイングはいわばデルタ7とR-22の進化型ともいえる存在だった。[3] Aウイングの機体はスピードを重視したタイトな造りになっていたが、おかげで被弾面積が少ないという利点もあった。[17]
Aウイングの原型となったR-22には、1人乗り用と2人乗り用の二種類のコックピットが用意されていた。反乱軍が入手した機体はタムズ=アン惑星防衛艦隊の中古品だったため、コックピットはすでにタムズ=アンの長身で脚が長いパイロット用に改造が施されていた。そのため操縦桿とコックピットを標準的な身長のヒューマノイド種族用に調整し直すことが、反乱軍の最初の仕事になった。また反乱軍は2人乗りのR-22を、パイロット育成用スターファイターとして使用できるように改良した。R-22のコックピットを改造した際、反乱軍のエンジニアは機体の他の部分も調査し、可能な限り既存の部品を流用する方向で、改造や改良が必要なポイントを決定していった。KSE社はR-22をハイパードライブを持たない小型短距離戦闘機として開発したが、反乱軍艦隊がより多くのハイパードライブ搭載戦闘機を切望していたため、機体内部にハイパードライブ・ジェネレーターを収めるための空間を確保することが、反乱軍技術者の次なる課題となった。[2]
推進装置[]
RZ-1 Aウイングはノヴァルデクス社製J-77“イベント・ホライズン”亜光速エンジンを2基搭載していた。これは当時最速の亜光速エンジンであり、大気中での最高速度は時速1,300キロメートル(808マイル)を誇った。伝えられるところによれば、反乱軍技術者はAウイングにアストロメク・ドロイドを組み込むことも検討していたという。しかしR-22の軽量フレームが巨大なJ-77エンジン2基のトルクにも座屈しない充分な耐久性能を持っていることが判明したため、スピードを優先し、アストロメク・ドロイドを割愛することが決まったのである。2基のエンジンは円筒型で、ノズルの先に推力偏向制御用のリングが付属していた。[2] 各エンジンの上下には、高い構造強度と軽量性を兼ね備える波状カーボ=プラス材で造られたスタビライザー翼が取り付けられていた。[18] パイロットは大気圏飛行時にスタビライザーを微調整することで飛行経路を制御した。[2] 船尾中央には反応炉の排気口があり、それと各エンジンの間に推力制御ジェットが配置されていた。[18]
R-22プロトタイプにJ-77“イベント・ホライズン”を追加した結果、RZ-1 Aウイングは銀河帝国最速の量産型戦闘機であるTIE/inインターセプターをも凌駕する[2]、銀河系で最速のスターファイターのひとつとなった。[1] さらに加速力とスピードを向上させるため、反乱軍の技術者はR-22のオリジナルの船体装甲や重火器、偏向シールド・システムをより軽量の素材やテクノロジーと交換していた。[2] また各種制御装置とジェットの組み合わせにより、RZ-1はスピードだけでなく驚異的な機動性を有していた。[3] 凄まじいスピードを実現したまでは良かったが、Aウイングは本質的にコックピットを2基の非常に強力なエンジンに取り付けただけの代物に過ぎないと批判されることがあり、ジェダイのような反射神経を持つパイロットですら、アストロメクの援助なしにRZ-1を操縦するのは困難だと指摘された。そのため反乱軍の司令官たちは、最も優れた技術を持つ経験豊富なパイロットにだけAウイングを操縦することを許可していた。[2]
RZ-1 Aウイングは光速航行用のエンジンとして、クラス1のインコム社製GBk-785ハイパードライブ・モチベーターを機体下部に搭載していた。亜光速エンジンとハイパードライブはいずれも、機体中央後方のMPS社製Bpr-99核融合反応炉から動力を供給されていた。ジャンプの計算をしてくれるアストロメク・ドロイドを持たないAウイングは、航法コンピューターにジャンプ2回分のハイパースペース座標を記憶させることができ、緊急時には味方から座標を受信することもできた。[2] また機体の裏面にはハイパードライブ・ジェネレーターの冷却マトリックスが配置されていた。[18]
操縦系統[]
- 「誰でもAウイングがありゃダンスの1つや2つは容易いもんだ」
- ―フェレスク・ツァット[出典]
KSE社が製造したR-22プロトタイプの与圧コックピットのキャノピーはトランスパリスチールでできており、パイロットが緊急脱出時に中から持ち上げて開くことが可能な蝶番式になっていた。パイロットはキャノピーを手動で上下させるか、自動で開閉するよう、出撃前にあらかじめプログラムしておくこともできた。反乱分子がR-22プロトタイプを入手した後、反乱軍のエンジニアは一部の機体のキャノピーを、スライドによる開閉が可能なレール式に改造した。パイロットの中にはこのレール式を好む者もいたが、整備士たちはすぐに蝶番式のキャノピーの方が整備が楽で故障も少ないことに気づいた。[2]
経験を積んだスターパイロットでもAウイングの操縦法を会得するのは難しいため、反乱軍のエンジニアと技術者は基礎訓練用のRZ-1T Aウイングを製作した。RZ-1Tのコックピットは、前席がパイロット、後席が教官というタンデム(2人乗り)仕様になっていた。またRZ-1 Aウイングのパイロットには操縦技術だけでなく、コンパクトな体格であることも求められた。反乱軍のクルーは標準的なヒューマノイドに合わせてコックピットや操縦系統の改造にベストを尽くしたが、それでもAウイングのコックピットをかなり狭苦しく感じるパイロットが大勢いた。そのため新共和国は、銀河帝国の凋落後にさまざまな体格のパイロットに対応可能なコックピットを備えたAウイングの製造をKSE社に依頼することになった。[2]
Aウイングのコックピットには最新の電子機器がぎっしりと詰め込まれていた。[3] 標準的なインコム社のスターファイター制御装置とは異なり、Aウイングの操縦系統はオリジナルのクワット製パーツと反乱軍が手を加えた技術が密集した複合装置となっていた。RZ-1 Aウイングの内部システムにはファブリテック社製IN-344-B“サイトライン”ホログラフィック映像システムやマイクロアキシャル社製LpL-449航法コンピューター、ファブリテック社製ANq 3.6コンピューター追跡システムなどが含まれていた。反乱軍のAウイング・パイロットはマルチスペクトル・イメージャーやその他のセンサー機器で情報を収集し、帝国のTIEパイロットがスクランブル発進や追跡を始める前にハイパースペースに離脱することができた。[2]
Aウイングはコックピットの先端部分にミラダイン社製4Xファントム短距離センサー・ジャマーを搭載し[2]、敵のスキャンの攪乱に特化したファブリテック社製のセンサー・ユニットも備えていた。[3] Aウイングが情報収集能力や攻撃力を存分に発揮できるのはこうした強力なセンサー・ジャミング・システムのパワーのおかげだが、TIEファイターなどの敵小型機が搭載する探知システムや索敵システムを攪乱することはできても、より高性能のセンサーを備えた主力艦を相手にした場合は効果が無かった。また自機が発した強力な妨害信号が主力艦に捕捉されると[18]、相手のセンサー・グリッドに検出スパイクを発生させ[3]、こちらの正確な位置を特定されてしまう恐れもあった。[18]
武器および防衛システム[]
アストロメク・ドロイドを省略することで確保された機体内部のスペースは、スピードアップのためのテクノロジーだけでなく、より高度な武器・防御システムを搭載するために有効活用された。[2] Aウイングは軽武装で[18]、スピードを優先したため他の反乱軍戦闘機より搭載火器は少なかったが[3]、その武器システム自体は相当の火力を有していた。Aウイングの両翼端の回転マウントに取り付けられたボーステル社製RG-9レーザー砲計2門は、もともと120度(上下に60度ずつ)の射角を持っていたが[18]、反乱軍技術者の改造により360度の旋回が可能になっていた。[2] これによりAウイングは真後ろを銃撃することが可能になり、この戦闘機の背後をとった追跡機のTIEファイター・パイロットの多くが予期せぬ運命を迎えることとなった。[3] 一方で、この回転マウントはジャムりやすく、真後ろを砲撃するときほどその傾向が顕著だった。整備士たちが回転マウントに使われている問題の部品を特定して交換した後ですら、Aウイングは他の反乱軍戦闘機よりも入念な飛行後の整備点検が必要となった。[2]
RZ-1 Aウイングは両翼のレーザー砲を使ってTIEファイターを撃墜し、より強大な敵には震盪ミサイルを使用した。[3] Aウイングは機体の下部にダイメック社製HM-5[10]、もしくはHM-6震盪ミサイル発射装置を2基搭載しており、機体下部にミサイルの弾倉、側部に発射管があった。震盪ミサイル発射装置は各6発、合計12発のミサイルを積み込むことができた。[2]
RZ-1 Aウイングのフレームはチタン合金製で、軽量型デュラスチール装甲版に覆われていた。またサープレックス社製Z-9偏向シールド発生装置がコックピット・キャノピーの真後ろに配置され、船首から船尾までを包み込むレイ・シールドの膜を投射した。[2] 機体を極力軽くするためAウイングの装甲プレートは薄くされ、シールド発生装置も小型化されていた。Aウイングの機首には、大気圏突入時に機体を保護するため強化遮熱材が取り付けられていた。しかしこの頑丈な機首を利用し、生還の望みを捨てたパイロットが敵艦に体当たりするという噂が流れていた。[3] 実際、敵艦に高速で突進して船殻を突き破るのは、逃げ場を失ったAウイングの最後の手段だった。[18] その矢じり型の設計と爆発性の高い燃料システムにより、Aウイングは体当たりした敵艦に多大なダメージを与えることが可能だったのである。[2]
新共和国のスターファイター隊では、RZ-1 Aウイングの主要兵器がテイム&バック社製KX8レーザー砲やクラプクス・ミュニションズ社製JR-89イオン砲、ガーヒル社製R/Fラピッドファイア・キャノンなどに換装されることがあった。また補助武器としてもケスラー社のクイックロック・ミサイルおよびIF-42クラスター・ミサイル、アーメック社製H/Mシーカー弾頭およびバラージ・ロケット、クザーカ社製シーカー・マインといった幅広いオプションがあった。[19]
用途[]
Aウイングは迫り来る敵の力を奪う護衛機として考案され、その役割はインターセプター(迎撃機)と見なされていた。そのためRZ-1の本来の役割は基地の防衛と補給船や貨物船の護衛であり[3]、反乱軍の戦術家たちは輸送船や主力艦といった機動性の低い船のエスコート機としてもうまく活用できると考えていた。[8] しかしAウイングは銀河一とも謳われるスピードと、優れたハイパードライブ能力、機動性により、機密情報の収集や偵察任務においても間違いなく優秀な機体だった。[3][18] またR-22をもとにRZ-1を開発した反乱軍は、テスト飛行の段階から、この小型機がヒット・アンド・ラン(一撃離脱)の任務や主力艦に対する精密攻撃、長距離パトロール、情報収集および偵察に理想的であることを確認していた。またパイロットたちは2枚のスタビライザーと制御装置により、Aウイングが大気圏内戦闘機としても効果的に運用可能であると指摘した。[2]
一撃離脱や情報収集任務において、Aウイングは襲撃の終盤でセンサー妨害装置を作動させながら全速力で敵に向かい、ミサイルを発射したのち、敵が有効な防衛態勢に入る前にすばやく離脱した。[3] また実戦において、Aウイングは帝国軍の高速機をレーザー砲で攻撃し、小型主力艦には震盪ミサイルを撃ち込み、大型帝国船の対処はXウイングやBウイングといったより重武装の味方戦闘機に任せた。Aウイングは耐久性が低く、装甲板や頑丈な船体構造の代わりに、スピードと敏捷性で身を守るよう設計されていた。[20] そのためドッグファイトに優れてはいたが、基本的には1発被弾しただけで簡単に撃破された。[3] 軽インターセプターであるAウイングは素早い交戦が可能である反面、長期的なドッグファイトは向いておらず、TIEインターセプターといった軽戦闘機を相手にした際には1回目の接近での撃破を目標とした。また重戦闘機や武装貨物船を相手にする場合はスタンドオフ戦術が向いており、震盪ミサイルで敵を弱らせた後、レーザー砲を用いて1~2回の接近でとどめを刺すのが有効だった。[20]
反乱同盟には帝国アカデミーからの離反者が参加していたこともあり、Aウイングの軽量型フレームがもたらす手動制御の自由度は、帝国のTIEファイターのそれに匹敵するという意見が一部の反乱軍パイロットから上がっていた。[2] RZ-1 Aウイングは反乱同盟や、多くの反乱分子のお気に入りの機体だった。[18] しかし一方で、Aウイングは反乱同盟の全スターファイターの中で最も操縦しづらい機体としても知られ、人間ミサイルというあだ名をつけられていた。その原因は、同盟軍のエース・パイロットしかうまく飛ばせない極めて繊細な制御システムにあった。また機体そのものも過度なストレスにさらされ、故障が日常茶飯事となり、頻繁な修理を必要とした。[3] 特にレーザー砲の回転マウントは故障が多く、出撃に対する整備の割合が極度に高かった。これはAウイング中隊の稼働状態を維持するうえで大きな妨げとなっていた。[18]
歴史[]
誕生経緯[]
RZ-1 Aウイング・インターセプターはクワット・ドライブ・ヤード社の子会社であるクワット・システムズ・エンジニアリング社(KSE)が製造したR-22をもとに[2]、同盟軍アンダーグラウンド・エンジニアリング[3] が開発した戦闘機である。もともとKSE社は共和国時代の終盤にジェダイ・オーダーのために“ジェダイ・スターファイター”ことデルタ7を製造していた。しかしこの機体はジェダイのパイロット用に特化していたことから、クローン戦争終結時にジェダイ・オーダーが滅びると製造打ち切りとなった。KSE社の重役は、デルタ7は非ジェダイのパイロットにとって極めて扱いづらい機体であることを良く承知していたのである。[2] そこでKSE社は、ジェダイのようなフォースによって強化された反射神経を持たないパイロットでも扱えるデルタ7の後継機種、R-22を新開発した。[20]
KSE社はR-22プロトタイプを銀河帝国に提示し、帝国宇宙軍に採用してもらおうとした。しかし帝国はすでにサイナー・フリート・システムズ社とTIEファイターの製造契約を結んでおり、R-22に大量生産の認可が下りることはなかった。[2] KSE社は不採用となったプロトタイプを惑星タムズ=アンの王国に売却した。これらの戦闘機はタムズ=アン惑星防衛艦隊においてR-22“スピアヘッド”という新たな名前を与えられた。[2] 当時からAウイングとあだ名されていたこの戦闘機は、高速性や機動性を試したいパイロットたちの間で好まれた。[3] 10年以上後[2]、共和国再建のための同盟が正式に設立されるより前、フェニックス戦隊をはじめとする反乱分子がAウイング・プロトタイプや改造型スピアヘッドをいくつか手に入れた。R-22を称賛し、自ら改造まで行っていたエース・パイロットのジェイク・ファレルは衛星ヤヴィン4のグレート・テンプル基地にスピアヘッド2機を持ち込んだ。彼はR-22への愛情と専門知識を買われ、新型戦闘機の開発に招かれることになった。[3] 反乱軍は新たにできあがった戦闘機をRZ-1 Aウイングと名付けた。こうした開発経緯はのちに『反乱運動正史 第1巻』に記録された。[2]
初期反乱運動[]
フェニックス中隊の戦力[]
コマンダー・ジュン・サトー率いるフェニックス反乱分子に属す戦闘機部隊[21]、フェニックス中隊は、Aウイングを使用した最初期の反乱軍ユニットのひとつである。[8] 彼らは最初の反乱軍ネットワークの一翼を担ったエリート・グループであり[21]、大半がRZ-1 Aウイングで構成された。[18] 当初、彼らはサトーの指揮艦であるペルタ級フリゲート<フェニックス・ホーム>を拠点としていた。[22] Aウイングは<フェニックス・ホーム>のハンガーに縦一列に駐機され、パイロットたちはハンガー上部に架けられた通路から飛び降りてスライド開閉式コックピットに乗り込んでいた。[2][23] またフェニックス中隊のAウイングはCR90コルベットにドッキングした状態で作戦区域へ運搬されることもあった。[24]
初期反乱運動の時代、ジャン・ドドンナ将軍は反乱軍のスターファイターの戦力についてまとめた報告書をモン・モスマに提出した。自分たちにとって最も有力な戦闘機を検討するため、ドドンナは参考資料としてRZ-1 Aウイングを始めとする各機体のスペックや、さまざまな反乱分子の指揮官たちのレポートを添付した。その中には、コマンダー・サトーがドドンナに宛てたレポートも含まれていた。サトーは一撃離脱作戦を行うことができる快速のインターセプターの優位性を主張し、フェニックス中隊はAウイングと熟練のパイロットたちに依存していると伝えた。またサトーは、自分たちはペルタ級フリゲートやCR90コルベットでAウイングを運搬せざるを得ない状況であり、今後同盟軍スターファイター司令部の活動範囲を広げるのであれば、専用のキャリアーが必要になってくると訴えた。サトーは2人乗りのRZ-1Tについても紹介し、この訓練機が揃えばホモンやファーステイにある飛行学校で活用可能だと述べた。これらの報告書は、のちに『レベル・ファイルズ』と呼ばれる反乱軍の非電子資料群に収録された。[17]
ムスタファーの戦闘以降、フェニックス戦隊およびそのAウイング部隊はVCX-100軽貨物船<ゴースト>で活動する反乱分子スペクターズのメンバーと行動を共にするようになった。[23] 4 BBY[25]、フェニックス戦隊とスペクターズがシールド発生装置を強奪するため帝国の船団を襲撃した際、フェニックス1および2のAウイングが<ゴースト>を補佐し、帝国のTIEファイターと交戦した。この作戦の後、フェニックス戦隊はロザル包囲戦のさなかにシス卿ダース・ヴェイダーが操縦するTIEアドバンストx1単機による奇襲を受けた。サトーはフリゲートからフェニックス中隊のAウイングを出撃させて応戦したが、シス卿はたった1人で中隊を手玉にとり、フェニックス1および2を含む6機のAウイングを撃墜したうえ<フェニックス・ホーム>を破壊した。[23]
反乱軍が帝国の封鎖下にある惑星アイバーへ物資補給任務を行った際、“フェニックス・リーダー”率いるフェニックス中隊のAウイングが輸送船1の護衛を務めた。しかし彼らはエージェント・アレクザンダー・カラス率いる帝国艦隊の封鎖を突破できず、フェニックス・リーダーが撃墜された。その後、反乱軍のAウイングは二度目の攻撃にも参加し、<ゴースト>やCR90コルベットを護衛した。この戦いの後、<ゴースト>の船長であるヘラ・シンドゥーラが新しいフェニックス・リーダーに任命された。[24] 3 BBY、カシウス・コンスタンチン提督率いる帝国軍が惑星ガレルの宇宙港に潜伏していたフェニックス分子を襲撃した。<リベレーター>や<ゴースト>、テイランダー・シャトルといった反乱軍の艦船は次々とガレル・シティから緊急発進し、Aウイングにエスコートされながら脱出を試みた。インペリアルI級スター・デストロイヤー<リレントレス>が反乱軍の旗艦である<リベレーター>に狙いを定めたため、<ゴースト>を除く反乱軍船はそのすきにガレルから逃げ出した。[26]
3 BBY、シンドゥーラ率いるフェニックス中隊はマンダロリアン・プロテクターと交渉するためAウイングに乗ってコンコード・ドーン星系へ旅した。彼女たちの任務は、ロザル宙域への新しい移動方法を確保するため、プロテクターと交渉して反乱軍艦隊が星系を通過する許可を取り付けることだった。しかしフェン・ラウ率いるプロテクターはすでに帝国に与しており、訪問者たちが反乱軍であると知ると、即座に攻撃を開始した。スカル中隊のファング・ファイターは突然の攻撃でAウイングの背後を取り、戦いを優位に進めた。この戦いでフェニックス3と4のAウイングが撃墜されたが、シンドゥーラも敵を1機撃墜し、フェニックス2とサビーヌ・レンのAウイングが脱出するチャンスを作った。シンドゥーラのAウイングもハイパースペースへジャンプしたが、その直前にラウの銃撃に被弾し、シンドゥーラは重傷を負った。[27]
ヘラの父親、チャム・シンドゥーラがフェニックス戦隊に情報提供を行った後、反乱軍はライロス解放運動と共同で作戦を行った。フェニックス戦隊に属す2機のAウイングは、惑星ライロスの軌道に配置された帝国のクエーサー・ファイア級クルーザー=キャリアーに味方を潜入させるため、反乱者たちが乗ったTIE/saボマーを追撃しているふりをした。TIEボマーに実際にレーザーを1発命中させた後、AウイングはUターンしてライロス星系を去った。反乱軍が奪取に成功したこのキャリアーは[28] <フェニックス・ネスト>と名付けられ[29]、フェニックス戦隊のAウイングの新たな母艦となった。[28] のちに反乱軍艦隊が宇宙空間でコンスタンチン提督率いる帝国軍による攻撃を受けた際、Aウイングも戦闘に参加した。この戦いを切り抜けた反乱軍は、新基地としてふさわしい辺境の惑星アトロンへ退却した。[30] アトロンに新設されたチョッパー基地には、Aウイングを駐機可能な着陸パッドも設けられた。反乱軍は基地周辺をセンサーで警戒し、Aウイング・パイロットたちがセンサー・マーカーを運搬・設置する役目を担った。しかしパイロットのダイサー中尉(フェニックス6)はAウイングから降りた際に原住生物のクリクナに襲われて命を落とした。[31]
反乱の拡大[]
2 BBY、スペクターズが惑星ヤルマの廃棄処理施設レクレム・ステーションから古いBTL-A4 Yウイングを強奪した際、フェニックス中隊のAウイングが増援としてヤルマ星系に駆け付けた。[32] またフェニックス戦隊では2人乗りのAウイング訓練機、RZ-1Tも使用していた。<ゴースト>のクルーが元シス卿モールの人質になった際、反乱者のジェダイ・ケイナン・ジャラスとエズラ・ブリッジャーは2人でRZ-1Tに乗り込み、モールが待つ小惑星基地ヴィズラ・キープ09へ向かった。[33] 同年、グリーン中隊のAウイングは惑星テラロフへ補給物資を運ぶ輸送船の護衛任務中に、帝国艦隊の攻撃を受けた。グリーン中隊の6名のパイロットはヴァルト・スケリス率いるTIEインターセプター部隊によって一掃され、輸送船も破壊されてしまった。[34]
銀河帝国が惑星マイカポの取り締まりを強化しようとした際、反乱軍は現地の仲間を回収するため<ゴースト>とハンマーヘッド・コルベット、そしてフェニックス2と3が操縦するAウイングをマイカポ星系へ送り込んだ。彼らが到着した時、地元の反乱勢力アイアン戦隊のYT-2400軽貨物船<サトーズ・ハンマー>が小規模な帝国の部隊と戦闘を繰り広げており、<ゴースト>はAウイングとともに彼らに加勢した。帝国の部隊が退却した後、2機のAウイングはマイカポの地表へ向かうケイナン・ジャラスのシーシピード級輸送シャトル<ファントムII>をエスコートした。まもなく反乱軍は避難民の運び出しを終えたが、アイアン中隊のマート・マティンは撤退を拒否し、帝国の増援部隊を相手に1人でマイカポ星系に留まった。しかしマティンのおじであるコマンダー・サトーは、帝国の罠を承知でCR90コルベットとAウイング2機を率いて応援に駆け付けた。[35]
アトロンのチョッパー基地でロザルの兵器工場攻撃に向けた準備が進められていた頃、エズラ・ブリッジャーは自分だけに聞こえるモールの声の幻聴や、幻覚に悩まされた。彼はAウイングが多数駐機されている着陸ベイでモールの姿を見かけ、パイロットたちを押しのけてその後を追った。ブリッジャーは反乱軍兵士のひとりをモールと思い込み、Aウイングの機体を飛び越えて相手を倒し、ライトセーバーでとどめを刺そうとしたが、ジャラスに制止された。[36] 当時、元帝国軍士官候補生のウェッジ・アンティリーズとデレク・クリヴィアンはフェニックス中隊の一員としてAウイングに乗り込んでいた。チョッパー基地が帝国のインフィルトレーター・ドロイドの脅威にさらされた時、アンティリーズとクリヴィアンは<ゴースト>と一緒に訓練に出かけていたため不在だった。[37]
反乱同盟が正式に設立された後[17]、エズラ・ブリッジャーはアストロメク・ドロイドのC1-10PとともにRZ-1Tに乗り込み、ジェダイ・マスターのオビ=ワン・ケノービを探すためタトゥイーンへ旅した。のちにブリッジャーはAウイングではなく、ケノービによって倒されたモールのガントレット・ファイター<ナイトブラザー>でアトロンに帰還した。[38] 2 BBY[39]、スローン大提督率いる第7艦隊がアトロンに集結していたフェニックス戦隊とマサッシ・グループに奇襲を仕掛け、アトロンの戦いが発生した。Aウイングを始めとする反乱軍の船はブリッジャーの<ナイトブラザー>1隻をなんとかアトロン星系から脱出させた後、地上のチョッパー基地に避難した。地上戦が始まると、アンティリーズ率いるAウイング隊が帝国地上軍のウォーカーへの攻撃を試みたが、TIEファイターの飛行隊に阻まれた。反乱軍はブリッジャーが呼んできたレン氏族のマンダロリアンや、アトロンの住民ベンドゥの介入のおかげで脱出のチャンスを掴んだが、無事に逃げ延びることができたAウイングは4機だけだった。[29]
反乱者のアーティスト、サビーヌ・レンは友人であるヘラ・シンドゥーラへの贈り物としてフェニックス中隊のアートを制作した。このアートにはシンドゥーラ機を含む4機のAウイングと、CR90コルベットが1隻が描かれていた。反乱同盟の指導者であるモン・モスマは、この作品は発展途上の同盟軍スターファイター隊の力を表現する手段としてぴったりだと判断し、新兵募集用ポスターとして仕上げてほしいとサビーヌに依頼した。『自由のために飛べ』と題されたこのプロパガンダ・ポスターの電子コピーは、帝国の飛行アカデミーのデータ・ネットワークに流布された。[40]
銀河内戦[]
- 「前方の火力を強化!」
「手遅れです!」 - ―Aウイングの特攻に気づいたファーマス・ピエット提督とゲラント[出典]
銀河内戦期にグリーン中隊の隊長(グリーン・リーダー)を務めたアーヴェル・クライニッド中佐はベテランのパイロット兼インストラクターであり、Aウイングのコックピットで過ごした時間は同盟軍スターファイター隊の誰よりも長かった。クライニッドはAウイングの性能を評価しており、熟練したAウイング・パイロットであれば帝国のライバル機であるTIEインターセプターを難なく打ち負かせるという考えを曲げなかった。一方、クライニッドは装甲が薄いAウイングではインペリアル級スター・デストロイヤーには太刀打ちできないことを承知しており、護衛や偵察といったスピードが活かせる任務でAウイングを使うようにしていた。[41]
4 ABYに発生した[25] エンドアの戦いでは、数少ない飛行可能なAウイングがグリーン、レッド、ブレード[3] およびゴールド中隊に割り当てられた。[9] 彼らは帝国の新たな超兵器である第2デス・スターを皇帝パルパティーンもろとも破壊すべく、ギアル・アクバー提督率いる艦隊の一員としてエンドア星系へジャンプした。地上チームが衛星エンドアにあるバトル・ステーションのシールド発生施設を破壊するまでのあいだ、彼らは待ち伏せしていた帝国艦隊を相手に厳しい戦いを強いられた。[12] 戦闘中、クライニッド隊長は敵機の防衛網を薄く引き伸ばして味方Bウイング・ボマーへの圧を和らげるため、TIEファイターとの混戦に臨むようグリーン中隊に命じた。[41] しかしコクリー(グリーン6)を始めとする隊員たちが戦死し[42]、グリーン中隊はこの戦いで3分の2を超えるAウイングを失うことになった。[41] この戦闘では優れたAウイング・パイロットが何人も戦死し[3]、シラ・コット(レッド3)はTIEインターセプターの攻撃を振り切ることができずに命を落とした。[12]
第2デス・スターのシールドが消滅すると[12]、ジェイク・ファレル(ゴールド4)[9] を含む複数のAウイングがゴールド・リーダー・ランド・カルリジアン将軍の<ミレニアム・ファルコン>に続いてバトル・ステーションの内部へ突入した。[12] またファレルたちがTIEファイターを引き離しているあいだに、Aウイングの中隊が帝国の主要バトルクルーザー<プライド・オブ・ターランディア>を破壊する戦果を挙げた。[3] またクライニッドは、数で劣る戦況に変化をもたらすため、スター・デストロイヤーの上部構造に高速で接近して機銃掃射飛行を行うようグリーン中隊の生存者に命じた。[41] クライニッド自身、ファレルとともに帝国の旗艦であるエグゼクター級スター・ドレッドノート<エグゼクター>のシールド発生装置を破壊した。[3] その直後、クライニッドは被弾して制御不能に陥ったが、Aウイングの機首を<エグゼクター>の司令ブリッジに向けて突進した。ファーマス・ピエット提督は迎撃を命じたが間に合わず、Aウイングの特攻によってブリッジを破壊された<エグゼクター>は第2デス・スターに墜落した。[12]
エンドアの戦いの終盤、Aウイング・パイロットのシャラ・ベイ中尉(グリーン4)は第2デス・スターから脱出したラムダ級T-4aシャトルを確認し、追撃を試みた。しかしこのシャトルには同盟軍のルーク・スカイウォーカー中佐が乗り込んでいることが判明し、ベイ中尉はエンドアへ向かうスカイウォーカーを護衛するためTIEインターセプターの追っ手を撃退した。この戦いを生き延びたAウイング・パイロットのエルゥロ・ランパー(グリーン2)は、亡きクライニッドに代わり新たなグリーン・リーダーとなった。エンドアの戦いの17日後、グリーン中隊のAウイングはスターディクIVでカワ・シティの戦いに参加し、AT-ATウォーカーへの爆撃を試みるフェラル中隊のBTL-A4 Aウイング・ボマーを援護した。[42] エンドア以降、TIEインターセプターへの依存度を増す帝国に対抗するため、新共和国はAウイングの生産を増加させた。[41]
新共和国軍スターファイター隊のヴァンガード中隊はAウイングを含む数種類の戦闘機によって編成され、元レーサーのミリアラン、ケオ・ヴェンジーが主にAウイングの操縦を担当した。銀河内戦の終盤、彼らはMC75スター・クルーザー<テンペランス>を拠点とし、リンドン・ジェイヴスの指揮のもと主にボーメア宙域で活動した。“ヴァンガード5”として部隊に加わった新入りパイロットも、<ヴィクトラム>の防衛戦でAウイングに搭乗した。その後、ヴェンジーとヴァンガード中隊はスターホーク計画に従事し、ザヴィアン・アビスやナディリ造船所で帝国軍と戦いを繰り広げた。また当時、アンヴィル中隊でもAウイングが使用されていた。[19]
トワイレックの新共和国軍パイロット、オリー・ビースコ(シェパード4)はさまざまな戦闘機で構成されるシェパード中隊においてRZ-1 Aウイングの操縦を担当した。5 ABY、彼らはフォンドア造船所における戦闘に参加し、インターディクター級スター・デストロイヤー<スペクトラル>への攻撃を試みた。その後、シェパード中隊はジャクーの戦いに駆け付けた。[43] 他にもフェニックス中隊のAウイングがジャクーの会戦に参加した。軌道で戦いが始まり、ブレード中隊のBウイングが敵の主力艦と戦うあいだ、ファントム中隊とフェニックス中隊のXウイングおよびAウイングがジャクーの対宇宙用砲台を攻撃した。またAウイング・パイロットのオダヴィア・エイナルは兵員輸送船を護衛するためジャクーの大気圏内に入り、地上の目標を掃射し、TIEファイターの迎撃部隊と戦った。しかし彼女は対空ミサイルに被弾して墜落し、のちに地上戦で戦死した。[41]
内戦以降[]
- 「あのAウイングを生かして帰すな!」
- ―ファースト・オーダーTIEファイター・パイロット[出典]
RZ-1 Aウイングはエンドアの戦いで帝国艦隊を破るのに貢献した銀河系最速機として知られていたが、同時に過敏すぎる制御システムや、問題の多い旋回砲、故障の多さで悪名を轟かせていた。そのため、ベテランの反乱軍パイロットやメカニックたちの後押しを受け、新共和国はクワット・システムズ・エンジニアリング社に新型Aウイングを受注した。こうして新共和国防衛艦隊のためにRZ-2 Aウイング・インターセプターが開発された。RZ-2はRZ-1とよく似た外見だったが、旧型よりも速く、制御システムとパフォーマンスが改善されていた。[2]
惑星ジャクーの宇宙船の墓場には、他の様々な戦闘機や軍艦とともに、ジャクーの戦いで墜落したRZ-1 Aウイングの残骸も取り残されていた。ニーマ・アウトポストを拠点とするゴミ漁りたちは、こうした宇宙船を対象に、銀河内戦から数十年が過ぎた後も価値のある部品を求めて廃品の捜索と回収を行っていた。ゴミ漁りのレイは自身の日記にAウイングを始めとする宇宙船のイラストを描き、廃品回収をする上での注意点や特徴などをメモした。レイによると、Aウイングはかなりのスピードが出るため墜落機のほとんどはただの金属片となっており、価値のあるものを回収できたらラッキーであるという。[44]
レジスタンスのパイロットの中には、若い頃にRZ-1 Aウイングで飛行経験を積んだ者たちがいた。シャラ・ベイの息子であるポー・ダメロンは、幼い頃に母親の古いAウイングを使って飛び方を学んだ。このAウイングは、ベイとその夫ケス・ダメロンがエンドアの戦いの6か月後に退役した際、反乱軍からもらった報酬の一部だった。ベイはそれから数年間、ヤヴィン4で民間の防衛機としてこのAウイングを使用し、しばしばポーを一緒に乗せた。ポーはコックピットで母親の膝に乗り、一緒に操縦桿を握った。[45] レジスタンスのRZ-2 Aウイング・パイロットであるタリサン・リントラも、故郷ピピップ3で父親の農業機として利用されていたRZ-1で飛び方を学んだ。[46]
反乱軍のAウイング・パイロットだったエルゥロ・ランパーは、レジスタンスに加わってから新型のRZ-2を操縦したこともあったが[47]、引き続き古いRZ-1モデルのAウイングを使い続けた。ファースト・オーダーとの冷戦のさなかの[16] 32 ABY[48]、ランパーはポー・ダメロン率いるブラック中隊の一員となり、ロア・サン・テッカの捜索任務に参加した。オヴァニスの任務のさなか、ランパーは指示を破ってファースト・オーダーのプラットフォームにAウイングで先制攻撃を仕掛け、戦闘を引き起こした。またメガロックス・ベータでは、ブラック中隊の仲間と共にファースト・オーダー保安局のエージェント・テレックスが乗る<キャリオン・スパイク>を撃退した。[16] のちにダメロンがカダックでテレックスやランク・ギャングの罠にはまった際、ランパーはAウイングに乗り、中隊の仲間と共にダメロンの救出に駆け付けた。しかし味方のオディ・ムヴァによって<スパイク>から解放された奴隷たちの脱出ポッドを護衛していた時、ランパーのAウイングはランク・ギャングのアグリー・ファイターに撃墜されてしまった。[49]
制作の舞台裏[]
デザイン[]
Aウイング・スターファイターは1983年公開の映画『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』で初登場を果たした。[12] ジョー・ジョンストンがAウイングのデザインを手掛け、インダストリアル・ライト&マジックのウェスリー・シーズとローン・ピーターソンが模型を製作した。ジョンストンのデザインは、初期の白黒のマーカー・スケッチの段階で完成形に近く、ツートンカラーの配色まで考えられていた。[3] またラルフ・マクォーリーが描いたフルカラーのプロダクション・ペインティングではAウイングは青い配色となっていたが、ブルーバックの撮影に向かなかったため赤に変更された。[3][50] Aウイングの模型には、第一次世界大戦のドイツ軍パイロットを手直ししたフィギュアが乗せられた。グリーン・リーダーのAウイングの片翼は、損傷を負った状態にするため所定の位置で折ってつくられた。[3]
設定の変遷[]
スター・ウォーズ レジェンズの設定では、RZ-1 Aウイングは反乱同盟のジャン・ドドンナ将軍とワレックス・ブリセックス技師の主導で、ヤヴィンの戦い以降に開発されたことになっている。[50] 正史では設定が変更され、ヤヴィンの戦い以前を描く『スター・ウォーズ 反乱者たち』シリーズにAウイングが登場している。[23] 時系列上、正史では『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の時点でAウイングが存在していたことになるが、ヤヴィンの戦いにAウイングの姿が無いことについて、デイヴ・フィローニやパブロ・ヒダルゴは反乱分子によって使う戦闘機が異なるからだと説明している。『反乱者たち』にはAウイングを主力とするフェニックス戦隊が登場するが、『新たなる希望』に登場したのはXウイングとYウイングを主力とするドドンナ将軍の反乱分子である。[51]
また反乱軍技術者がRZ-1 Aウイングを開発したという設定はレジェンズと正史で共通しているが、レジェンズでは製造元が“反乱同盟軍にかかわる様々な企業”とされているのに対し[52]、正史の資料ではクワット・システムズ・エンジニアリング社とされることが多い。厳密には、KSE社は“RZ-1” Aウイングを製品として製造したわけではなく、その原型となったR-22の製造企業であるが[2]、正史資料の慣習にならい本サイトでも製造元の欄に同社を記載している。
正史の資料『週刊スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン』第29号の日本語版では、RZ-1 Aウイングがインコム社と反乱軍の協力のもとで開発されたと解説されている。これはレジェンズ設定を踏襲した内容と思われるが、英語版ではインコム社の部分がクワット・システムズ・エンジニアリング社に直されているため[3]、日本語版は修正前の原稿をもとに翻訳・発行されたものとみられる。
Aウイングの全長について、9.6メートルとする資料と[8][17]、6.9メートルとする資料がある。[2][18] 公式サイト StarWars.com のデータバンクには現在も9.6メートルと表記されているが[8]、『スター・ウォーズ/ビークル・クロスセクション完全版』や『反乱軍スターファイター オーナーズ・ワークショップ・マニュアル』といった、宇宙船をテーマにした近年の資料で6.9メートルとされており、特に後者は全高・横幅も合わせた寸法を提示しているため[2][18]、本サイトではこちらを正確な情報として扱っている。
登場作品[]
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参考資料[]
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脚注[]