デックス・ダイナー(Dex's Diner)は惑星コルサントの工業地区ココ・タウンに存在した24時間営業の食堂である。ベサリスク種族のデクスター・ジェットスターがオーナー兼コックであり、労働者の常連客を相手に、家庭的で美味い、そして不健康な料理を提供していた。銀河共和国黄金時代の伝統的なダイナーを彷彿とさせる内装になっており、狭い店内は昼夜を問わず満員だった。この店では人間のハーマイオニー・バグワとドロイドのFLOがウェイトレスとして働いていた。彼女たちはどちらも自分の方が立場が上だと考えており、食堂の支配権をめぐって対立していた。ジェットスターはウェイトレス同士の衝突を快く思っていなかったが、彼女たちの口喧嘩は常連客のお楽しみになっていた。
店長のジェットスターが多彩な過去と幅広いコネを持っていたため、料理ではなく情報を求める客がダイナーを訪れることもあった。22 BBY、ジェダイ・ナイトのオビ=ワン・ケノービは賞金稼ぎザム・ウェセルの口封じに用いられたセーバーダートに関する情報を得るため、旧友のジェットスターを頼ってダイナーにやってきた。ケノービはこの毒矢がカミーノの製品であることをジェットスターから教わり、のちにカミーノを訪れて極秘のクローン軍団を発見した。ジェットスターはダイナーを何十年にもわたって経営したが、銀河内戦終盤の4 ABYの時点で、この店はすでに閉店していた。
特徴[]
建物と従業員[]
- 「さあて友よ、わしに何の用かな?」
- ―デクスター・ジェットスター[出典]
ベサリスクのデクスター・ジェットスターが経営する[2] 24時間営業の[3] レストラン、デックス・ダイナーは首都惑星コルサントの老朽化した工業地帯、ココ・タウンの通りに位置していた。ダイナーは古めかしく趣のある建物であり[2]、店内は狭いが、ココ・タウン付近の住民がよく立ち寄るため、夜昼問わずいつも満員だった。[4] ダイナーは上から見ると角が丸い長方形の建物であり、通りに面した壁に横長の窓が並んでいた。通り側の壁沿いにはカウンター席とテーブル席が並び、奥のキッチン側にも曲線を描くカウンター席が配置されていた。[5] コルサントにある何百万という似たような食堂のなかでも、デックス・ダイナーは、銀河共和国の黄金期に存在した伝統的なダイナーを彷彿とさせる内装になっていた。[6] コルサントでは許可証なしで営業を行うレストランが多くあり、役人が調査にやってきたとき即座に退去できるよう、店舗自体にリパルサーリフト装置を取り付けているところもあったが、デックス・ダイナーもこうした移動式食堂のひとつだった。[7]
デクスター・ジェットスターはこの店の経営者でかつコックでもあり、必要とあれば皿洗いも担当した。[8] このベサリスクの店主は多彩な過去と幅広いコネを持ち、常連客たちから信頼を置かれていた。ジェットスターは情報通だったため、しばしば料理ではなく情報を求めてダイナーにやってくる客もいた。ダイナーでは人間のハーマイオニー・バグワと、ドロイドのWA-7がウェイトレスとして働いていた。コルサントのアンダーレベルで育ったバグワは、地表に面した店で働けるのはとても幸運だと思っていた。[6] 一方、生意気なWA-7ウェイトレス・ドロイドであるFLOは、常連が偉そうな態度をとってきたり、スペシャル・メニューを復唱させようとしてこない限りは、親切な接客をしていた。[9] バグワとWA-7はどちらも自分の方が立場が上だと思っており、食堂の支配権をめぐって争っていた。[6] ジェットスターはバグワとFLOの不仲をよく思っていなかったが、彼女たちが声を荒げて衝突する様子は、ダイナーの客のお楽しみになっていた。[10]
店を訪れる働き者の労働者たちは、手早く家庭的な料理を楽しみながら、地元の政治やスポーツ、時事問題などの話に花を咲かせた。[2] スピーダーのドライバーや整備士[11]、港湾労働者、製図家など[12]、手早く家庭的な料理を求める労働階級の客が主にダイナーを訪れたが[13]、時には大使や元老院議員の補佐官、そしてジェダイ・ナイトも来店し、客足が途絶えることはなかった。[11] ジェットスターが開けっぴろげでウェルカムな性格であることも客層の広さに一役買っており[3]、コルサンティの裏社会からも客が集まっていた。[3][6]
料理[]
- 「ジャワ・ジュース飲まれます?」
「ああ、いただこう。どうも」 - ―FLOとオビ=ワン・ケノービ[出典]
デックス・ダイナーで提供される食べ物は、惑星コルサント特有の珍奇なメニューとは一線を画す、家庭的でうまい料理だった。[6] こうしたメニューは雑多な食材から作られており、不健康ではあったが、店は繁盛していた。[4] ジェットスターは船で運ばれてくる中密度の食材ボードを平べったい“スライダー”に切り分け、サンドイッチとして提供していた。スライダーには特別な付け合わせが添えられていたが、この付け合わせには中毒性のあるドラッグが使われているという噂すらあった。常連の中にはスライダーを食べるため数光年の旅をしてダイナーを訪れる者もいたが、胃痛を避けるため食事前に解毒剤を服用する者もいた。[6]
ダイナーではシック=シックス=レイヤー・ケーキが一切れ2.5クレジット、トーストもしくはサーモ=ザップされたシャウダ・クラブ・サンドイッチが6.7クレジット、フォトン・フィズルが1.7クレジットであり、客たちは家庭的な料理を安価で楽しむことができた。ダイナーのメニューはクレジット・チップでの支払いに対応していた。シック=シックス=レイヤー・ケーキは人気のデザートであり、ジェットスターはかつて銀河系を旅してまわっていた頃に、辺境の惑星シスクに起源を持つこのケーキのレシピを知ったのではないかとされていた。[6] またダイナーではフレッシュなアーディース(ジャワ・ジュース)や[2] ナーフバーガーも売られており、リナ・グラフはこの店のナーフバーガーが一番だと評価していた。[12]
歴史[]
デクスター・ジェットスターは銀河系各地を渡り歩き、石油採掘現場の労働者や用心棒、武器の売買といった多彩な仕事を経験した後、デックス・ダイナーの店主として新たなスタートを切った。[8] 彼はこの店を何十年にもわたって経営した。[14]
共和国時代後期、パロウィックの泥棒トライ・テロンがデックス・ダイナーの常連客を相手に盗みを繰り返し、ジェットスターを悩ませた。そこでジェットスターの友人であるジェダイ・ナイトのオビ=ワン・ケノービは、テロンがいるときにダイナーを訪れ、わざと自分の持ち物を盗ませた。テロンはジェダイの所有物を盗んだことに興奮したが、それは追跡装置が仕込まれた文鎮に過ぎなかった。ケノービは装置を頼りにダイナーからテロンの後を追い、彼女のねぐらを突き止めた。[12]
ココ地区はズィロ・ザ・ハットが経営するナイトクラブからさほど遠くなかったため、ナイトクラブで知り合った二人組がデックス・ダイナーに場所を移して気楽な食事を楽しむケースがたびたびあった。そのためダイナーは22 BBY頃に、惑星の犯罪拠点について調査を行っていたコルサント保安部隊(CSF)の注意を引いた。CSFが調べた結果、店主のジェットスターは店内でかわされた取り引きに一切関与していなことが分かったが、実際に賞金稼ぎのオーラ・シングが店を訪れたり、アイオニ・マーシーやキャシー・クライアーのような犯罪者が店の前で目撃されたりもした。CSFのタン・ディーヴォ警部補は、客の個人的な問題に立ち入りたくないというジェットスターの意思を尊重し、適切な距離を保ちながらこの店を見守っていくことに決めた。[3]
22 BBY[15]、オビ=ワン・ケノービは賞金稼ぎザム・ウェセルの殺害に使われた毒矢について詳細な情報を知るため、友人であるジェットスターのダイナーを訪れた。ウェセルはパドメ・アミダラ元老院議員暗殺未遂事件の実行犯だったが、何者かがこの武器を使って彼女の口封じをしたのである。ジェットスターは友人を歓迎し、ジャワ・ジュースを飲みながら毒矢について話し合った。彼はこの武器がカミーノ・セーバーダートであることを見抜き、惑星カミーノに関する情報をケノービに与えた。その後、ケノービは教えられた通りカミーノを訪れ、この星で秘密のクローン軍団が製造されていたことを突き止めた。[5]
銀河内戦終盤の4 ABYの時点で、デックス・ダイナーはすでに閉店していた。銀河帝国に立ち向かうコルサントの少年少女によって構成される反乱分子アンクルバイター・ブリゲイドは、ココ・タウンの抜け穴やトンネルに精通しており、閉店したダイナーの裏手にも点検口があることを把握していた。[1]
制作の舞台裏[]
デックス・ダイナーは2002年公開のオリジナル・トリロジー第2作『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(ジョージ・ルーカス監督)のために制作された。[5] 『クローンの攻撃』のセットの中では珍しく、デックス・ダイナーのセットはほとんどが実際に作成されており、窓の外に見える道路の交通や、常連客の多数がデジタル処理で追加された。このダイナーではスター・ウォーズの世界観と、1950年代のアメリカの飲食店にみられた“グリーシー=スプーン”(ギトギトしたスプーン、転じて昔ながらの大衆食堂の意味)の美学が融合されており、内装はルーカス監督作『アメリカン・グラフィティ』に登場するダイナーとよく似た特徴を持つ。[16]
ダイナーの常連客の一部は、映画『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』に登場したポッドレーサー・パイロットたちの3Dモデルを再利用し、CGで作成された。例えばダグのセボカはセブルバ、ヌクノグのスリザー・ブッシュフォーブはアーク・ルース、店の外にいるトリフィアンのオニー・ボビッシアはエーブ・E・エンドコットをもとに作成された。なおマーズ・グワオをもとにしたNJ・オプー(NJ Opuh)というキャラクターも造られる予定だったが、最終的にカットされた。[16]
登場作品[]
- ワイルド・スペースからの物語:待て、泥棒!—アドベンチャーズ(2017) 1
- スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 (初登場)
- アフターマス (言及のみ)
- ロスト・ストーリーズ パート3—アドベンチャーズ(2017) 32 (想像上に登場)
参考資料[]
脚注[]
- ↑ 1.0 1.1 アフターマス
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 2.7 2.8 Dex's Diner - 公式データバンク
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 スター・ウォーズ:スカム・アンド・ヴィラニー
- ↑ 4.0 4.1 アルティメット・スター・ウォーズ 完全保存版大百科
- ↑ 5.0 5.1 5.2 スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 6.6 スター・ウォーズ ビジュアル・ディクショナリー新完全版
- ↑ スター・ウォーズ コンプリート・ロケーションズ
- ↑ 8.0 8.1 スター・ウォーズ キャラクター事典 完全保存版
- ↑ WA-7 - 公式データバンク
- ↑ 週刊 スター・ウォーズ R2-D2:第39号 (ドロイド仕様書:コック/ウェイトレス・ドロイド)
- ↑ 11.0 11.1 Hermione Bagwa - 公式データバンク
- ↑ 12.0 12.1 12.2 ワイルド・スペースからの物語:待て、泥棒!—アドベンチャーズ(2017) 1
- ↑ スター・ウォーズ ビジュアル・エンサイクロペディア
- ↑ Star Wars THE GALACTIC EXPLORER’S GUIDE
- ↑ スター・ウォーズ ギャラクティック アトラス
- ↑ 16.0 16.1 Dex's Diner - 旧データバンク (リンク無効; バックアップ)