イオピー(Eopie)は砂漠の惑星タトゥイーン原産の4足歩行クリーチャーである。草食で、比較的少量の水で長距離を旅することができるイオピーは、乗用動物や荷役動物として過酷な環境で酷使されていた。イオピーは健脚で、耐久力が非常に高く、より大型のロントやデューバックよりも扱いやすかった。その一方、重すぎる荷物を運ばせると言うことを聞かなくなるなど、頑固で気難しい一面もあった。またイオピーは防衛手段を持たないため、捕食動物に対して無力であり、身を守るためにふだんは20頭以上の群れで行動した。タトゥイーンでは水分農夫や商人たちによって好んで使用され、特にモス・エスパの街で頻繁に目にすることができた。イオピーは独特な体臭のせいで値段が安く、奴隷の身分でも手に入れることが可能だった。
イオピーは人気と利便性の高さから、銀河系各地へ輸出されていた。32 BBY、奴隷のアナキン・スカイウォーカー少年は2匹のイオピーを使ってポッドレーサーをモス・エスパ・グランド・アリーナへ移動させた。またジェダイ・マスターのクワイ=ガン・ジンはポッドレースの賭けでワトーから勝ち取ったハイパードライブ発生装置をイオピーに運搬させ、パドメ・アミダラのナブー・ロイヤル・スターシップへ運び込んだ。クローン戦争期の21 BBY当時、カット・ロクウェインの一家はサルーカマイの農場でイオピーを家畜として飼育していた。9 BBY当時、タトゥイーンに隠遁していたジェダイ・マスターのオビ=ワン・ケノービもイオピーを日常的な移動手段として利用した。
生態と特徴[]
- 「ユー、臭い」
- ―ジャー・ジャー・ビンクス[出典]
イオピーは4足歩行の草食[4] 哺乳類クリーチャーであり[2]、全身を覆う毛皮は無く、白い肌がむき出しになっていたが[5]、頭頂部に黒い毛がまばらに生えている個体もいた。[1] 目の色は赤や黒など、個体によってさまざまだった。[6][7] 平均体高は1.75[3] ~2メートル。[4] イオピーの鼻は柔軟で、採餌に適していた。[5] イオピーの体は大きく頑丈で、独特の体臭を発した。[7] 脚は長細く、足先はがっしりとして皺が寄っており、それぞれ3本の足指が生えていた。[5] 適切に飼育されたイオピーの寿命は90標準年にも達した。[8]
イオピーは比較的少量の水で長距離を移動可能であり、出発前に水を飲んでいれば、途中の水分補給が無くても長旅をすることができた。彼らは幅広で肉付きがよく、踵が平らな足を持っているため、不安定な地形や砂丘でも問題なく進むことができた。イオピーはゴムのように強靭な唇と、特殊な歯を備えており、砂をえり分けて地表の下に生えている植物を見つけることができた。イオピーは全速力で駆けたとしても、スピードではロントやデューバックには及ばなかった。また彼らは防衛手段を持っておらず、捕食動物に対して無力だった。[7]
習性[]
- 「行くぞ、それ!」
- ―クワイ=ガン・ジン[出典]
イオピーはアウター・リム・テリトリーの惑星タトゥイーンの固有動物であり[4]、この星の過酷な砂漠の気候に適応していた。[9] イオピーの子どもは弱く、捕食動物の餌食になることが多かったため[4]、彼らはたいてい20匹以上の群れで生活した。彼らは防衛手段を持たず、捕食動物に襲われたらひとたまりもないため、大集団を形成することが荒野で安全に生き抜くための策だったのである。タトゥイーンの他の乗用動物と同じく、イオピーも優れた草食動物であり、水分の大半は砂漠の地衣類や塊茎から摂取していた。[7]
イオピーは簡単に手なずけることができ[3]、ロントやデューバックよりも小型で扱いやすかった。騎獣としては、主に1人乗り動物として飼われた。[7] 強靭でタフなイオピーは、タトゥイーンにおいて頼りがいのある荷役動物として高い評判を得ていた。[9] イオピーはいつでもきちんと与えられた仕事をこなすが[8]、頑固で[5] 気難しい一面もあり、荷物があまりにも重すぎると鼻を鳴らしたり、おならをするなどして[8]、手が付けられなくなることがあった。[10] また彼らは自然の防衛本能の一環として、消化途中の食べ物を大量に吐き出すことがあった。[7]
イオピーと文化[]
双子の太陽が照り付ける砂漠の星タトゥイーンにおいて、住民たちはイオピーを限界まで酷使していた。[4] タトゥイーンでは熱や砂埃、砂嵐が機械の輸送機をダメにしてしまうことがあるため、イオピーやデューバックといった飼い慣らされたクリーチャーが理想的な荷役手段となったのである。[5] 大型のクリーチャーよりも飼育や取り扱いが楽であることから、水分農夫や商人が好んでイオピーを使用した。イオピーは足取りがしっかりしているため、貴重品の輸送に向いており、その肉体的特徴は砂漠の旅行者に好まれた。[7] また水分農場の男たちは貴重な水分を吸い上げてしまう雑草を、年老いたイオピーに食べさせて駆除していた。[4]
イオピーは独特な体臭のせいで取り引き価格が低く抑えられ、安価で入手できるため奴隷階級でも一般的に利用されていた。反対に、裕福な商人からは敬遠された。長旅のあとでは、体に染みついたイオピーの体臭が抜けるのに数週間かかることもあった。またイオピーから消化中の食べ物を吐きかけられないよう、利口な通行人たちはこの動物を刺激したり、怒らせないよう気を付けていた。イオピーは食物を吐き出す際に精確に狙いをつけることができ、水浴びがままならないタトゥイーンでは、この臭いを落とすのにもまた数週間を要した。イオピーは無力な動物であるため、飼い主は居住区域の近くに留まるか、武器を携帯するなどして捕食動物を警戒した。[7]
イオピーはタトゥイーン全土で使用され、特にモス・エスパ界隈の往来の激しい通りや商業地域では頻繁に目にすることができた。飼い慣らすのが容易であることから、年老いて大人しくなった個体がペットとして子供に与えられることもあった。[7] イオピーを荷役動物にする際、彼らが気を散らさないよう、後方の視界を遮る目隠しが両目のうしろに取り付けられることがあった。[5] ファランパセットと同様、イオピーも人気と利便性の高さから銀河系の各地へ輸出されていた。[2] 惑星サルーカマイでは家畜として飼育されていた他[11]、砂漠の衛星ザードッサ・スティックスや[12]、惑星バトゥーのブラック・スパイア遺跡付近にある森やジャングルにも生息していた。[13] また惑星アバファーの植民地ポンズ・オーラにある食堂パワー・スライダーズでは、「イオピー・シチュー」という名のメニューが販売されていた。[14]
歴史[]
共和国時代[]
- 「よせ、やめろ!」
- ―家畜のイオピーに顔を舐められたレックス[出典]
銀河共和国時代後期、モス・エスパに住む奴隷のシミ・スカイウォーカーは、自分の荷物を運んだり、奴隷主ワトーの物資回収のために2匹のイオピーを役立てていた。[7] 32 BBY[15]、シミの息子であるアナキン・スカイウォーカーがブーンタ・イヴのポッドレースに参加することになった際、スカイウォーカー母子とパドメ・アミダラ、キットスター・バナイは2匹のイオピーを使ってアナキンのポッドレーサーをモス・エスパ・グランド・アリーナの格納庫へ運び込んだ。レース開始直前、複数のレーサーがイオピーを使ってレーシング・マシンをアリーナのスタートラインまで移動させた。その際、アナキンのレーサーの整備を手伝っていたジャー・ジャー・ビンクスは、イオピーのおならの臭さに鼻を覆った。[1]
アナキンがブーンタ・イヴ・クラシックに優勝した後、他の者たちが格納庫で少年の勝利を祝う中、アナキンの友人であるローディアンのウォルドはイオピーの手綱を握ろうとしてこの獣に翻弄された。またジェダイ・マスターのクワイ=ガン・ジンは2匹のイオピーを使い、アナキンの勝利のおかげでワトーから勝ち取ることができたT-14ハイパードライブ発生装置をアミダラのナブー・ロイヤル・スターシップへ運んだ。その後、クワイ=ガンはワトーとの賭けで自由の身となったアナキンを連れてくるため、イオピーに乗ってモス・エスパの奴隷地区へ引き返した。[1]
クローン戦争期、カット・ロクウェインの一家はサルーカマイの農場でイオピーを飼育していた。ロクウェインのイオピーは広大な牧場で放し飼いにされ、数匹は納屋の中で飼育されていた。[11] 21 BBYに発生した[15] サルーカマイの戦いのさなか、クローン・キャプテンのレックスはロクウェインの牧場の敷地内でBXシリーズ・ドロイド・コマンドーに狙撃され、重傷を負った。レックスの部下のジェシーは周囲にいるイオピーが家畜であることに気づき、どこか近くにキャプテンを運び込める家があるはずだと判断した。レックスはスー・ロクウェインの厚意で納屋に運び込まれたが、その日の夜、療養のため眠っていたところイオピーに顔を舐められて目覚めることになった。[11]
21 BBY[15]、パントランのノットルウィスキー・パパノイダとその息子アイオンが賞金稼ぎグリードと共にモス・アイズリー宇宙港を訪れた時、地元のカンティーナ付近に、イオピーを荷役動物として利用するジャワたちの姿があった。[16] 20 BBY[15]、賞金稼ぎのアサージ・ヴェントレスがタトゥイーンを訪れた時も、宇宙船の発着場付近や街中の通り、カンティーナ付近といったモス・アイズリーの各所にイオピーがいた。[17] 19 BBY[18]、誘拐されたジュリア女王を救出するためザードッサ・スティックスを訪れたジェダイ・マスター・メイス・ウィンドゥとジャー・ジャー・ビンクス下級代議員は、誘拐犯であるフランゴール・カルトを追うため、港で乗用動物を購入した。その際、ウィンドゥは急いでいたためクランボアンの業者の言い値を払い、自身はダルゴに、ビンクスはイオピーに乗って追跡を続けた。マザー・タルジンとの対決を終え、無事にジュリアを救出した後、ビンクスは甲高い声を出して2匹の動物を再び呼び出し、女王と一緒にイオピーに乗って、ウィンドゥのダルゴと一緒に砂漠へ駆け出した。[12]
帝国時代以降[]
- 「サイアクだ。壊れたスピーダー・バイクのガスと同じくらい、臭いイオピーの尻と同じくらいサイアクさ」
「感動的だ。きみは詩人になるべきだったな」 - ―テミン・ウェクスリーとシンジャー・ラス・ヴェラス[出典]
19 BBYに[15] クローン戦争が終結し、銀河帝国が設立された直後、オーダー66を生き延びたジェダイ・マスターのオビ=ワン・ケノービは、赤ん坊のルーク・スカイウォーカーをラーズ家に託すためタトゥイーンを訪れた。砂漠の惑星に到着した後、ケノービはルークを抱えてイオピーに乗り、グレート・チョット塩類平原にあるラーズ農場へ移動した。ケノービは農場の外で赤ん坊をオーウェンとベルー・ホワイトサン・ラーズ夫妻に渡すと、近くで待機しているイオピーのほうへ引き返していった。[19]
ケノービはその後もルークの成長を見守るためタトゥイーンで隠遁生活を送り、日常的な移動手段として1匹のイオピーを利用した。9 BBY当時、彼は仕事のあいだイオピーをアンカーヘッドの街に待機させておき、労働現場であるティビドン解体場への行き来には、他の労働者たちと同じリパルサークラフトを利用した。そして仕事を終えてアンカーヘッドに戻ると、イオピーに乗って住処であるデューン・シーの洞窟へ帰るのが、当時のケノービの日常だった。ある日の夜、イオピーに乗って砂漠を移動していたケノービの前に、同じくジェダイの生存者であるナリが姿を現し、手助けを求めた。ケノービはいったんイオピーから降り、ジェダイではなく一般人として生きていくようアドバイスを送ると、再びイオピーに乗り、落胆するナリを残して去ってしまった。[20]
4 ABY、惑星アキヴァの住人であるテミン・ウェクスリーは、母親のノラやバトル・ドロイドのミスター・ボーンズ、賞金稼ぎジャス・エマリ、元帝国軍忠誠将校シンジャー・ラス・ヴェラスらとともに新共和国の任務を手伝うことになった際、帝国未来議会のサミットが行われている宮殿へ乗り込む作戦は“臭いイオピーの尻と同じくらい”最悪なアイデアだと語った。[21]
制作の舞台裏[]
イオピーは1999年公開のオリジナル・トリロジー第1作『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』で初登場を果たした。[1] 当初、『ファントム・メナス』でポッドレーサーのエンジンやその他の部品を運ぶ荷役動物は、2本足のクリーチャーとして制作されていた。しかし映画の物語制作が進み、グンガンが獣を乗りこなす戦士になると[22]、この2本足動物の登場シーンはタトゥイーンからナブーへ変更となり、カドゥという騎獣になった。そしてカドゥの代わりにイオピーがデザインされることになり、ダグ・チャンが手掛けた、ポッドレーサー・エンジンを運ぶカドゥの初期の設定画をフォトショップでレタッチした結果、2本足の動物が4本足のイオピーとして生まれ変わった。[23]
2014年に公開された『クローン・ウォーズ ザ・ロスト・ミッション』のエピソード『失踪 パート2』は、ジャー・ジャー・ビンクスとジュリア、メイス・ウィンドゥがそれぞれイオピーとダルゴに乗って砂漠へ駆け出すシーンで終わる。[12] 本作の脚本では、主人公たちが“まるで『最後の聖戦』のラストのように”走り去る、と表現されていた。[24]
登場作品[]
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